とぱさん追悼。
葬式にて
2016年9月25日に元MJ-spiritメンバーのトパーズ氏が急逝した。
事故死です。下田の海で溺れて。
亡くなった翌日に会いに行った。
明後日には火葬にするというので、一目顔を見たかったから。
メンバーのどん君、ゴリ君、AKKOさんも合流した。
棺の彼は、まるで眠っているようで、
『どうしても実感が沸かず』
火葬されて、骨を拾っても今だに
『まったく実感が湧かない』
告別式でお経を唱えられても、
『何かの冗談にしか思えなくて』
それは他のメンバーも同じ感覚だったと思う。
翌日、一緒に告別式に参加したどん君は式の合間にちらちら僕のほうをみていて、
何か言いたがってたけど、ためらっていたみたいで、でも、意を決して僕にこう聞いてきた。
「これ、撮影か何かじゃないよね?」
この葬式と、とぱちゃんがどうしても結び付かなくて、
これは何かの撮影で次の瞬間棺から「もう終わったのかな?」とか言ってひょこっと出てきそうな気がするのだ。
通夜の時に棺を囲んで、いとこさんや弟さんと、彼の少年時代の話やMJ-spirit時代の昔話とか沢山の思い出話をした。
献杯をして皆でビールを飲んだ。棺のとぱちゃんにもビールを注いだ。
とぱちゃんがこの場所に魂だけの状態でいたら、どんな事を考えるのか、想像してみた。
「なんでオラがここで眠ってるんだ?、そうか、よく分からんが死んだのか、なるほど、これが死後の世界というやつか」
そんな事を思いながら彼の事だ、色々分析して、あの世のSNSとかブログか何かで観察結果を詳細に記しているのではないか?
「どうやら魂だけの状態だと、現世の人間には自分の姿は見えないらしい、お腹も空かないし、体も軽く、宙に浮くことが出来る。
この状態は恐らく四十九日の間だけであろうが、色々興味深い世界なので、経過をこのブログに載せていこうかと思う。」
「今火葬場でオラが焼かれてるのだが、それを自分がこうして見ているというのは何とも不思議な気分である。こんな小さな骨壺に収まってしまうとは」
「あの世というものがある事が分かったので、恐らくマイケルジャクソンにもどこかで会えるのではないだろうか」
不謹慎な想像かもしれない、こういう想像をすることで彼の死を受け入れようとしているのだと思う。
人となり
トパーズ氏の事を自分はとぱちゃんと呼び、彼は何故か僕の事を「やんやん」(幼少時代の愛称)と呼んでいた。
とにかく、感情をあまり表に出さない人だった。こう、笑い話のつもりでつっこんでみても、その話しを頭の中でじっくり消化した後、落ち着いた口調で「ああ、なるほどねえ…」と彼の中で自己完結して終わっちゃう事が多いので。
これなら食い付くかなあと、色んな角度からアプローチした。
たまにヒットして、いつもよりちょっぴり反応が良かった時はちょっと嬉しかったり…
とぱちゃんは本を読むのも、自分の考えを文にするのも好きだ。
彼の物の考え方は独特で好きなので、話しを聞かせてもらおうとするのだけど、自分から話すのはあまり得意じゃないみたいで、質問しても、言葉を選びながら最小限の答えしか返さないので、話しを引き出すのもちょっと時間が掛かるw
彼は「MJ-spirit」が発足するきっかけとなった「SF Project」からの発足当時からの唯一のメンバーとして2001年からずっと共にステージに立ってきた。(写真左から2人目)
2人きりでステージに立っていた時期もあった。共に黎明期を歩み続けてきた。(写真:麻布十番祭り2001年、写真右)
裏方として
近年は、ダンサーとしてではなく、大道具制作の裏方としてチームに関わる事が多かった。
彼のいとこさんが社長を勤める金属加工の会社に勤めていたので、そのスキルを活かして、いとこさんと共に、
完全オーダーメイドのTHIS IS ITバージョンのマイクスタンド(納得するまで40本もの試作品を試したらしい。)、そして、アンチグラヴィティ、御本家のをさらに改良したグラヴィティシューズ、ジェニファー電飾衣装の背負子部分。関わった作品はとてもとても重要だった。
最後に
最後にMJ-spiritのダンサーとして参加したライブは2013年の六本木ライブハウスでのステージだった。(ソロ名義では2014年のダンパが最後)フル参加ではなく、後半の数曲だけだったが、
久々にどん君、レイさんも加わり、懐かしい面子でライブをした。(写真左から4人目上)
とぱちゃんが亡くなったその日に、このライブ映像を関西のイベントで上映していたのだ。なんという偶然だろうか。
野口整体とマイケルジャクソン
とぱちゃんが特に傾倒していた野口整体は彼がきっかけで自分も興味を持ち、人の身体に対する理解を深めるきっかけとなった。
この写真は2007年新木場のMJファンイベントでの本番直前の画像。
ステージ袖でとぱちゃんが自分に「気」を送っている。これは野口整体でいうところの「愉気」と呼ばれるもの。(気持ちを整える効果がある)
ステージ最前列ど真ん中でマイケル本人が観ているのだから、緊張しない訳がなく…
この愉気の効果だったかは分からないけど、いつものように落ち着いてパフォーマンス出来たと思う。
ピクニック
そして忘れられないのが趣味の一つであるお菓子作り。2014年に古くからのMJファンの友人達と行ったピクニックで頂いた手作りのシフォンケーキやら、焼き菓子、コーヒーなど、今となっては本当に貴重な経験だった。
支えるという事
亡くなる前日まで、友人の手作り結婚式のプロデュースをしていたそうだ。
いつも誰かを支えてきた。
とぱちゃん
僕の事もいつも傍で支えてくれてありがとう。
どれくらい先になるか分かんないけど、とぱちゃんの分も生きて、
そして、いつかまた会おうね。それまで、沢山あっちの世界を観察しててね。
話し、沢山聞かせてもらうから。