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『ブラインドから君の歌が聴こえる』感想

サミュエルサトシ著『ブラインドから君の歌が聴こえる』読み終わりました。

簡潔にいうと、目が見えなくなった元DJがブラインドサッカーに目覚めていく話です。

面白かった。これまでブラインドサッカーというスポーツがある事も知りませんでした。

小説読了後、本物を見たくなって実際小説に登場するソラ選手のモデルと思われる埼玉T.Wingsの菊島宙さんの一人で大量得点をたたき出しているプレイ動画を観ました。確かに前にボールを大きく蹴りだしたり助走してシュートしたり、盲目とは思えない傑出したプレイをしていた。目が見えない状況でぶつかっていくというのは物凄い恐怖との闘いだと思うのだけれども、相手チームのゴール裏からの指示を出すガイド、目が見えるゴールキーパー、そして監督、選手たち全員の信頼関係があるからこそあれだけのプレイが可能なのだと思いました。

俺は中学時代に一応サッカー部に所属はしていたけれど、現在はスポーツ全般にまったく興味がないので、東京オリンピックもパラリンピックも他人事のようにしていたのだが、このブラインドサッカーが2004年からパラリンピック正式種目になっていたそうで、これに関しては観てみたいと思いました。(コロナの影響で開催は不透明になってしまったが)、

ただ、パラリンピックのブラインドサッカー種目に出場できるのは男子のみなので、菊島選手は出場できない。個人的には彼女の活躍が見てみたいです。

登場人物たちがとても個性的で魅力的な描写でした。どこまでもやさしい三太夫、小鉄、ボス的空気が満ち満ちていた飯塚氏、人間的やさしさを持った奥村氏、主人公啓史の相棒であり、ライバルでもある裕二の出生からの人種問題とそれに向き合い悩む主人公たち、著者のサミュエルサトシ氏も、音楽やスポーツをやっているからこそ映像が浮かんでくるようなリアルな描写が出来たのかなあと。この小説のキーパーソンはヒロインの坪井彩で、彼女の存在が、この作品に一本の軸を確立させてくれたような気がします。

実写化できそうだけど、キャラが個性的なのであえてアニメ化でも面白そう。新海誠監督あたりに頼んでw

p・sここからは個人的などうでもいい疑問なのだけど、大江戸ランページの三太夫はどんな髪型何でしょうね?小鉄は細身でアフロ、三太夫は坊主頭という描写があったのだけど、小説内で啓史が三太夫の髪の毛を引っ張るシーンが出てきたので…(時期的に離れていて髪をその後伸ばしたのかも)